― ある日の偏食家の話 ―
[家族団欒の食卓にも慣れては来ていたが、
星の街でも再会を果たしたのは成人となってからだったし、
親友いわく「生粋の偏食家」だった自分もだいぶヒトの舌を手に入れたということで。シムクス一家の小麦を届けているという洋食店へと親友で外食をすることになった。
他愛のない、ワインを酌み交わしながらの水入らずな会話だけ、済ませて。
舌に運ぶのは家庭料理にも似たシーフードパスタや、野菜も、ソーセージもしっかりと乗った、具だくさんなピッツァ。それだけのはず、それだけのはずだったのだ。
ここ暫く、雨が続く日が多かった。それが原因とか。そういう話は全く聞いていないのだが。
雲が覆った太陽が怒り狂ったのか、世界のどこかで因果律がまたひとつ、ねじ曲がったのだと、友の一人がわめいていた。
食事の中で一つ、きのこたっぷりのグラタン、というものがあったのだが。なんとなしに口にしたらホウレン草とドクダミと藁を割ったような味がして、びっくりした。
聞けば、とある家で育成をしようとしたらあまりにも育ちすぎたからおすそわけをしたので、珍味として出しているとかいないとかで。
出すならいってくれればいいのにねえ。
と、小さく苦笑いして。なんとなしに。
友とその味を共有すべく1.ダンテ 2.アーサーの口に突っ込んだ]
2(2x1)**