210 【GR村】真くっの塔～GOの女神達～【どんぐりー！】
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見守り兎（村建て）
パーティの参加者達が寝静まった頃、塔の主は物思いに耽る。
準備にひと月を掛け、一週間に亘って盛大に執り行った宴も、無事終わりを迎えようとしている。
個性的な面々……、その一人一人を思い描くだけで、塔主の口許には自然な笑みが浮かび上がる。
眠そうな瞳に似つかわしくなく一際騒がしい猫、クールに己を御するもどこか愛らしい烏、人懐こくも決して心の底を見せない魚、静かに仕えながらもどこか油断のならない目をしたメイド、自問自答を繰り返したアイドル、思い出せない過去にもがく謡い手、やわらかな世界に自らを押し込めた死神、長生きなのにうっかりものの魔女、幸運を自ら操作しようとするスキルマスター、不屈の精神を最後まで貫いた5GOの少女、人間体を操る多忙な兎、6に執着する謎の男、Eに翻弄された熱き魂の記録者、可愛いものとヒジキに目がない教授(おじさんだけど♀)、言葉少なに淡々と仕事をこなすメイド長、確率を支配する女神……。
そういえば、親友でもある無口な黒兎は、
静かに地下室を見守ってくれていただろうか。
久しく味わうことのなかった満足感が、塔主を温かく包んでいた。
【GM】わおん塔主 透トオル
あの日――。
闇と契約したあの日を、私は後悔していないのだと思う。
人狼が憎かった。弱さが憎かった。力を欲した。
あの日あの時の私は、そうすることでしか心を保てなかった。
幼かった私の魂は、他に救われる方法を知らなかった。
しかし……、その記憶を封印されてから新たに生じた私の人格は、あの日の私が知らなかったことを、既に知っている。
強く在るということ、その本当の意味を。
今の私には、ただ弱さを憎むことはもうできない。
【GM】わおん塔主 透トオル
あの古代竜には感謝している。
狼に成りたての頃の私ならば、解かれた魂の封印に耐えることはできなかったであろう。
恐らく再び封じることすらも叶わず、狂気に囚われたに違いない。
古代竜を倒せる程の力を得ていたからこそ、全てを受け入れることができたのだ。封印の箱を彼の竜が護っていてくれたのはその為ではないかとさえ、今は思っている。
【GM】わおん塔主 透トオル
強さとは孤独である。
孤独と退屈に耐える力である。
弱さを憎むことはもうできない。
そこには、仄かな憧れさえ覚える。
……この気持ちを知れたことは、私にとって意味があった。
だからあの日の自分を後悔はしていないのだ。
【GM】わおん塔主 透トオル
ただ――、
時折こうして人を呼び、ささやかな喜びを感じることくらいは、
孤独な智狼にも許されても良いのではないかと、思うのだ。
見守り兎（村建て）
眠りに就いているであろう参加者達を思い、塔主はふと目を細める。
その唇が、ゆるゆると言葉を紡いだかに見えた。
声は、人の耳には聴こえない。
見守り兎（村建て）
ここは狼兎の森。
その中心にそびえ立つ、わおんの塔。
賑やかだった宴も終わり、
塔は常の姿を取り戻しつつあった。
静謐に、夜は白み始める――。
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