エピローグ / 188 第３回手札当て人狼 -うみがめのなく頃に-

188 第３回手札当て人狼 -うみがめのなく頃に-

知略の軍人ドゥクス

#海亀
家に帰りついてひと息ついたレジーナさんは気付いてしまった。
この世界は左右反転していると。
文字も写真も時計も部屋の家具も家の間取りも自分の身体も。
あのコンビニでおびあーを買おうと姿見のようなガラスケースの前に立った、あの時からだ。

レジーナさんは携帯電話にエナメル線を巻き付け、直流電流を流してみた。
方位磁針アプリを起動する……予想通り、磁場の変動は元の世界と変わりない。
フレミングの電磁誘導則も反転しているのだ。

ベクトルの外積計算は……、右ネジを回す向きも反転している以上、世界反転は証明のしようが無い。
誰もその事に気付いてすらいない。
この何もかもが間違った世界に対して人間は無力だ。
どっと疲れが押し寄せて来る。

ふと目覚めるとそこは元の世界だった。
少しばかり居眠りをしてしまっていたようだ。
周りを見回すと、文字も写真も時計も部屋の家具も家の間取りも自分の身体も、全てが元に戻っているように見えた。