76 【完全RP】輪廻の果てに
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【秘】 医学博士 セラ > 観察者 ニケ
――――…どうして、謝るの。
あなたは何も間違った事は言わなかった。
やり直しができるなら…あなたに言わせる前に、自分の力で立ち直りたい。
[謝らないで。
こんな弱った時に謝られたら、簡単に――泣いてしまう。
自分を抱きしめるように腕を痛いほどに握りしめて
歯を食いしばり、ぐっと堪える。
堪えろ。]
私、家族はもうないし。
血縁はいるけれど、出来損ないの私を嫌ってる人達ばかりだし。
だから……私は平気。
安心して。ちゃんと『医療者』であり続ける。
…あなたの嫌いなお医者さんとして、ね？
[上手く笑えたかどうかは、自信がない。*]
観察者 ニケ
[通信から聞こえる声。
如何やらアンネの発作は落ち着いたらしいと聞けば一安心。
彼女がちゃんと診ていると。いうのならば大丈夫だろう。
くすりと笑ったのを通信機越しに聞けば、安堵の息を漏らした。
――でも。息を飲んだ後続く彼女の言葉には
ぐ、と唇を噛み締める。
ああ知ってるよ、俺が悪い。
ぜんぶ、自分が悪かったことは知ってるんだ。
それでもきっと何度でも同じことを繰り返すってことも。]
【秘】 観察者 ニケ > 医学博士 セラ
[ああ、やってしまったと唯そう思った。
強い人だとは知っていた。だからこそ、無理させたと分かる。
通信機の向こうの彼女は今、どんな顔だろう。
声は、震えていないだろうか。彼女だけでなく己の声も。]
――嘘つくな。
平気なわけないだろう。
故郷を失って。家族の思い出を喪って平気な奴なんていない。
誰も見てない、俺も見てない今は、今だけはセラでいてくれ。
勝手な事だけど……今だけは、医療者じゃなくて。
俺の同僚のセラとして、居てくれ。
[自分では、
今だけ彼女を『セラ』に戻す事は出来ないかもしれないけれど。でも此の侭泣かないままでは、セラが潰れてしまいそうで。]
心配なんだ、君が。
――医者は嫌いだが。セラを嫌った事は一度もないから。
薬学研究者 アンネ
[そして、訪問当日。
家に上がるなり、その子を探した。走って走って辿り着いた部屋に、女の子が居た。
桃色の髪に、白い肌に浮かぶ、スミレ色の瞳。
まるでピンク色のキレイなお花みたい。
それが、セラちゃんを見て初めて思った事。幼いアンネは、嬉しそうに目をまんまるにして]
私は、アンネ！アナタは？
[それが、彼女との出会いだったか。
後に、何度か遊んでいれば、歳上でお姉さん感はあるものの、アンネの一番の友達になった。
―――――大好きな友達に*]
医学博士 セラ
[アンの容態を聞かれたのはともかく。
まさか、自分に向けられる言葉があるとは思わなかった。
…本当に突発的な事態に、自分は弱い。
彼は後悔しているのか。
セラ＝リン＝ドゥに『医療者』を押し付けたと。
どうして謝るのだろう。
『医療者』である事――誰かの役に立てる存在である事は、自分で自分に望んだ事。
もう二度と繰り返さない。
彼に諭される前に、
私は私の力で、背を伸ばして前を見据える。
――そう、思っているのに。]
【秘】 医学博士 セラ > 観察者 ニケ
[嘘をつくな、なんて。どうして言うの？
必死に、必死に、自分の二本の足で立っていようって、力を尽くしているところなのに。
あなたが突き放したくせに、
今だけは――そんなに優しい言葉をくれるなんて]
……っ、…………………わた、…――。
[ああ、だめ。
口を開いたら。
涙をこぼしているのが、悟られてしまう。
息を止めて、いくつかの沈黙が通り過ぎる。
優しくしないで。
仕事を挟まない人との付き合い方なんか、知らない。
それでもこれだけは伝えなくちゃ。]
【秘】 医学博士 セラ > 観察者 ニケ
………わたしは、いつでも、……
医療者だけど、……いつだって、あなたの同僚、よ。
[嫌われたっていいの。
緑はいつだって私の声に知らんぷり。
それでも、私は、大切に思ってる。]
―――…ありがと。
[あーあ。
泣いているのがバレてしまったかもしれない。
でも、私が笑ったことも…伝わったかな。*]
【独】 医学博士 セラ
/*
まさかここでニケが泣かせてくれるとは思わなかった…！
さすがモテる男は違うな…！
うっかり惚れてしまうねこれ…！
観察者 ニケ
[後悔は、していないんだ。
きっとあの場面になったら自分は何度も同じ選択をする。
彼女が彼女が望む様に、一人立てる様に。
彼女が医療者であろうとする様子は、知ってるから。
それを崩さぬためにもと。
そう、言い訳をして同じことをするくせに。
それを心苦しく思っているくせに。
それでも願うのだ。
彼女が唯のセラであれる時があればよいとも。
まっすぐ前を見て。皆の心配をして。
そうあろうと頑張る姿を知ってるから。]
【秘】 観察者 ニケ > 医学博士 セラ
[人との付き合い方は、多分自分と彼女とは違う。
彼女は仕事を挟んで、人と付き合おうとする。
自分は笑顔で、皆と付き合うけれど一定のところまで踏み込ませない。
己の心は誰にも、見せないんだ。
それでも、小さく――息を飲む様子も。
聞こえてしまった。小さな雫の音も。
彼女の一人頑張る姿を、知っていながらそうあれかしと告げたこと。
苦しく思う心は、持ってるんだ。
其れを強いてしまった事を、申し訳なく思う心も。
数秒が、永遠にも思える沈黙。
何時でも医療者であろうと、そう告げる彼女に。
それ以上かける言葉は今はなく。
否定することは絶対にできないものだ。
彼女の誇りであり、生きる礎でもある指針で。
何よりも尊い、ものだから。]
【秘】 観察者 ニケ > 医学博士 セラ
[だから、小さく呟く]
――そっか。……なら、いいんだ。
俺もいつだって、あんたの同僚だしな。
なぁセラ。
[ありがとう、その言葉に込められたのはどんな気持ちだろう。
それでも通信機から笑い声が聞こえたなら。
言いたかった言葉を、言おうとしてた言葉を飲み込んで。
そして此方も笑んでこう告げよう。*]
――今度、メディカルチェック、してくれるか？
天のお告げ
―― 観測日誌90日目:月基地（モニター室） ――
[寒い。
生命反応が無かったこと、故郷が消えたことが、
そんなにもショックだったのだろうか。
不思議。
毎日お祈りしてきたけど、こんなにもサージャリム様を近くに感じたことはない。
友の声が遠くに聞こえる。
顔を、ゆっくりゆっくり挙げていったら、
眼前に広がるのは、青色。
ああ、わたし、あの星の大気になりたい―――――――――――――。]
日誌はここで途切れている。
医学博士 セラ
[ああ――そうか。
彼にはさっき、情けない自分の姿を見せてしまった。
崩れそうな姿を知っているから
こうして声をかけてくれたのか。
優しい言葉に耳を傾けたら
もう二度と一人では立てなくなりそうで
だけど彼の言葉は確かに
力を与えてくれる。
大丈夫。
おかげで私は、『私』であり続けられる。]
【秘】 医学博士 セラ > 観察者 ニケ
[彼の沈黙も、言葉も、まるで心に寄り添ってくれるようで。ふわりと温められた、胸の奥。
どうやら本当に彼に嫌われているわけではないらしい。]
―――メディカルチェック、いつでも待ってるわ。
[それだけを微笑んで告げて、通信を切る。
これ以上は、駄目。
彼にだって嘆きや悲しみがあるはずなのに。これ以上話していたら、そんなのお構いなしに彼にぶつけてしまう。
彼から優しさをもらえた。
これだけでもう、十分。*]
【秘】 観察者 ニケ > 医学博士 セラ
――必ず、いくよ。
[切られた通信、いつでも待っているという言葉に微笑もう。
――彼女の優しさに感謝しつつ。
唯、きっとその日が来ることを信じて**]
【独】 観察者 ニケ
/*
さて、ニケさん的には早期落ちが理想かもしれない。
その時シュテンに謝れればいいな。
アンネへの淡い恋心は伝えないままでいよう。
多分それが、ニケらしい。
というか此奴自分の気持ちに気付いてないと思う←
植物学者 オルテンシア
[ こつりと額を合わせながら、脳裏に描くは遠い故郷。
遠く、戻れぬ場所となった星。
田畑のために失われた森や草原。
倒された木を悲しく思った。
崩された山のために嘆いた。
けれども、生きるために戦っていたのは、植物ばかりではなく―――
老人ばかりの星で。
他に産業のない故郷で。
一度戦火に覆われれば、生き延びる術はない。
だからこそ、必死で。
一人一人、闘っていたのだろうと。
失ってから気がついても、遅いのだろうけれど。]
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