先輩、ライラ
「ぇ、あ……1級上なら早く言えって。いや、言ってくださいよ……」
ライラ、いや、ライラ先輩、と赤くなったり青くなったりする俺に、ライラはいつもの顔でふにゃりと笑う。
さんざ、ライラライラと呼び捨てにして、顎で使うような真似までしたのに、もう慣れちゃったしこのままが良いなと、先輩はこてりと首を傾けたのだった。
────それは丁度、1年前の八百万祭での事。
* * *
軽音部の1年生組、初めての八百万祭。
せっかくだから揃いのTシャツくらい作りたかったけど、金が無ければ技術もない。知恵も無い。