~気になる後輩について。~
一年前。ひょんなことから知り合いになった後輩に誘われ覗いたステージ。いつもより少し真剣な表情で楽器に向き合う彼に、投げられたピックが落ちるように。ボクは__あまりにあっさりと__恋に落ちてしまったわけだ。
廊下ですれ違えば挨拶を交わしたり。たまに、ほんの少しの雑談を交えたり。進展なんてあるはずがない、けれど幸せな時間。あの時のピックは今もボクのお守りだ。
八十神祭実行委員で見慣れた顔を見つけたとき胸に過ぎったのは驚きだった。そして、困惑、嬉しさ。ライラ、といつもの呼び方で、ルースがボクを呼ぶ。祭は始まったばかりだった。