「…………なんか」
俺はどんな顔でその返事をしたんだろう。
「なんか、"先に言われちまった"って気がする」
ぼそりと返すと、イエスでもノーでもないその返事にライラは不思議そうに幾度か瞬いてたけど、俺は俺で、ああそういうことかと、今まで脳の端にチラついてた噛み合わない和音が全てぴしりと整った風に感じてた。
なんで、ライラの声は耳にすんなり届くんだろう、とか。
なんで、全生徒が集まる体育館で他学年のライラを毎度すぐに見つけることができるんだろう、とか。
なんで、去年も今年も、ステージから俺が投げるピックは過たずライラのところに飛んでくんだろう、とか。
ライラが俺を見てただけじゃない。
俺もきっと、ライラをずっと見てたんだ。