陽の微笑み

シナリオ制作:色猫卓

影の嘆きと対になった内容です。
今回は動画化することを前提に別々のPLに回しましたが、背景事情がリンクしていますので、同じPLに回していただくことを推奨します。

■登場NPC

・友人(中野)
・同行者(動画内での小野吹ポジション)

戦闘が発生しますので、お助けNPCの同行を推奨。
KP側で同僚なりなんなり、上手く設定してあげましょう。
上記がある故に、継続探索者だとやりやすいと思います。
また戦闘が発生する可能性が高いので、火器以外の戦闘技能があると対処しやすいでしょう。

■導入

友人の中野から喫茶店に呼び出され、相談を持ちかけられる。

最近、奇妙な少女を見る。
少女は目の前でバラバラになって死んでしまう。
血が飛び散り、少女の四肢がバラバラになるところを見る。
しかし、次に会う時にはまた元に戻っている。
そして、目の前で死んでしまうという。

<精神分析>もしくは<心理学>を持っている場合は、判定が可能。
<心理学>に成功した場合は彼が本心から言っていて、心底怯えていることがわかる。
<精神分析>に成功した場合は精神的な疲労が濃く、治療が必要だというのがわかります。(不定の狂気一歩手前です)

話し終えた後、中野と共に喫茶店を出る。
歩いている最中、ヒマワリ畑の前で、友人の足が止まる。
そこで、友人と共に探索者も彼が言っていた少女の姿を目撃する。

以下、テキスト一例。

中野の視線は、真っ直ぐ一点に注がれている。
病院(もしくは喫茶店)の近くにある、ヒマワリの畑だ。

そこには長い髪をなびかせ、一人の少女が立っていた。
年の頃はまだ十にならないくらいだろうか。
幼さの残るその顔に、柔らかな笑みが浮かんでいる。

君が彼女の存在に気付いたその瞬間。
一瞬彼女の姿が揺らいだ気がして。
白く細い腕が、ぼたりと落ちた。

少女の顔には、笑みが浮かんだまま。
耳には彼女の笑い声が響いている。

腕をもがれた少女は、まるで人形のようだ。
だが。しかし。その傷口は、人形などではありえない。

か弱い華奢な腕。その切断面には赤黒い肉が、白い骨が見える。
そして、また一つ。
彼女の腕が落ちた。

君の横からは、中野の狼狽した声が聞こえてくる。
どうやら、相当に取り乱しているみたいだ。

さらには、ごとり、と。
一際大きな音がして、彼女の……少女の、頭が落ちた。

目の前の信じられない光景を見てしまったからか、
君の隣からは尋常ならざる悲鳴が聞こえてきた。
限界まで追い詰められていた彼の精神は、この光景で最後の一押しを受けてしまったようだ。

友人(中野)は確定で発狂。(不定の狂気入り)
取り乱して、道路めがけて走り出す。

探索者は0/1d4+1の正気度ロール。
発狂せずに済んだ場合は、友人を助けられるかどうか、DEXの5倍で判定。

DEX判定に成功した場合、友人は車に巻き込まれはしたけれども、大事には至らずに済んだ。
DEX判定に失敗、もしくは反応出来なかった場合は、友人は車と衝突して重傷を負ってしまう。
どちらの場合でも、足を負傷し暫く入院することになります。

事故に気を取られていると、少女の姿はいつの間にか消えている。
血の痕も残ってはいない。

■翌日

中野は入院。
翌日仕事なり私生活を送っていると、少女が再び探索者の前に現れる。

そこでもう一度、凄惨な光景を目にする。(正気度ロール発生)
が、途中で同行者から声がかかる。
話をした後、状況を確認すれば、再び少女の姿は消えていた。

単身で遭遇の後、入院中の中野から電話がかかってくる。
思い出したことがあるという。

■友人からの話の内容

  • 十年くらい前に、女の子ばかりが攫われ、バラバラにされるという事件があった
  • うちの近くに住んでいた被害者の子にそっくり
  • その家は今空家になっている
  • 女の子が殺されてから、その家族もじきに見かけなくなってしまった

上記情報をもって、探索者達を空家へ誘導。
(行かない場合は、後述の病院シーンへ)

移動前に十年前の事件について調査も可能。
その場合、

  • 被害者は十歳前後の少女ばかり
  • 皆行方不明のままか、あるいは四肢をバラバラにされた状態で発見された
  • 犯人はいまだわからず
  • 例の空家は、一人娘がバラバラの状態で発見された
  • 事件の後、夫婦は別離

という情報を入手。

■空家探索

※戦闘あり、同行者と共に行くことを推奨

空き家はすぐに入れるような状態で構いません。
鍵が壊れている、窓が割れている等を推奨。

探索箇所は一階リビングと二階夫婦の寝室と二階子供部屋。
順に回ると自然にその順になるように、マップを調整。

●リビング

本棚に<目星>か<図書館>。
家主の日記を発見。
以下内容。

××月××日

まるで夢みたいだ。
もう一度、あの子に会えるなんて。

間違いない。
あれは、あの子だ。
あの子が帰ってきてくれたんだ。

可哀想に。あんなに血を流して。
さぞ苦しかったんだろう。痛かったんだろう。
どんな姿になろうとも、これからはお父さんが傍に居てあげる。

××月××日

妻はあの子が帰ってきたということを決して認めようとはしなかった。
別離を告げたら、実家に戻っていった。
なんて女だ。あれでもあの子の母親か。

愛娘の姿が見れるなら、それだけで喜ぶべきではないのか。
あの子が苦しんでいるなら、どうにかしてあげたいとは思わないのか。

××月××日

あの子は何度も私の前で苦しげな様子を見せてくる。
きっと、助けて欲しいのだろう。
私に何かを訴えているのだろう。

私は あの子のために 何をしてあげられる?

××月××日

今日はいい日だ。
久しぶりに、あの子の声を聞けた。

あの子もやはり苦しいのだろう。
あの子の願いならば、叶えてあげたい。

他ならぬあの子の願いじゃないか。

「お父さんの血が欲しい」

――…って。

日記を読んで0/1d2の正気度ロール。

●夫婦の寝室

ベッドと机がある。
机の引き出しを調べるか、あるいは<目星>成功で手紙を発見。

母親の書きかけの手紙。
知り合いの医師にあてて書いたもの。
序盤は当たり障りのない時候の挨拶が続く。

以下、手紙の内容。

夫は、すっかりおかしくなってしまいました。
あの子はもう死んだのです。
火葬して、今はお墓に眠っています。
そのままの姿で蘇るなんて、有り得ないというのに。

最近、あの子の部屋で奇妙な気配がするのです。
それを、あの人はあの子が帰ってきたからだという。
部屋を片付けさせようとしても、お前には母親の資格はないからと立ち入らせてもくれません。

入ろうとして口論になった時。
一瞬だけ、見えてしまったんです。
こんな話、とても信じては貰えないかもしれませんけど。

あれは、断じて、あの子ではない。
あんなのが、あの子であっていいはずがない。

あんなものを、あの子と呼ぶなんて、あの人は気が触れてしまったんだわ。
あれは。あれは。

まるで、腐った死体みたいだった。

あの人は、きっと幻覚を見ているんです。
あんなものを我が子と信じてしまうだなんて。

どうか先生、あの人を診てあげてください。
そして、私達を助けてください。

あの化物から 私達を解放してください。

手紙を読んだ探索者は0/1d3の正気度ロール。

●子供部屋

部屋の前で聞き耳をすると、中で何かが動く気配がする。
入った場合、最初は部屋の隅に黒いものが見えたけれども、すぐに少女の形となる。

正体は、歩く妖蛆。(マレウス・モンストロルムp18参照)
ただし、出来損ない故に記憶を読み取って親しい人の姿を取ることは出来ない。
一人の少女の姿を、延々と映し続けている。

普通ならば油断させてPOW対抗を持ちかけてくるのだけど。
それが出来ない故に、恐怖を植え付けて(=恐怖映像を見せて)魂を揺さぶってくる。
故に、狙いを定めた相手の心を揺さぶろうとする。という設定。

既に恐怖を植え付けてある探索者には、POW対抗を仕掛けてくる。
成功したならば、元の姿に戻って戦闘。(正気度ロールを忘れずに)
失敗した場合、探索者達がそこに居るならば、再びPOW対抗を仕掛けてくる。
逃走した場合は、以下の病院ルートへ。

妖蛆を倒せた場合は、そのままエンディングへ。

■病院

空家で妖蛆を倒せなかった場合、または行かなかった場合は、個室の友人を狙って病院に妖蛆が現れる。

中野から助けて欲しいと切羽詰まった電話が入る。
中野が軽傷の場合は、院内を逃げることが出来る。
探索者が到着するまでに<幸運>を振って、その結果次第で無事か否かを決定しましょう。
重傷だった場合は、妖蛆の餌食に。

ここら辺の悲惨さ加減は、KPにお任せ。
基本は空家で決着ですが、それをしなかった場合は、病院にいる友人と、探索者と両方を標的として動いてきます。

戦闘以外での対処は基本不可。
病院で対処出来たならば、それでエンディングに。

病院で友人をゲット出来た場合、その場でお食事して、空家に帰っていく。
暫くしたら、またおなかをすかせて、既に恐怖を見せてある探索者のみに標的を定めて動きます。

■エンディングについて

基本は一本道です。
妖蛆を倒せばクリア。
戦闘で対処が難しい場合は、アイテムや呪文等設定していただいても構いません。

基本のSAN回復1d6
友人が生きている場合+1d3

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